2018.09.21

【精油の抽出法を解説】第3回 効率よく香りを出す「溶剤抽出法」

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精油の中には大変高価なものがあります。例えば、ローズやジャスミンなどがそうで、ちょっと気軽にアロマポットやディフューザーで楽しむというわけにはいきません。

その理由は精油の取り出し方と、植物に含まれている精油の量が関係しています。

精油の抽出方法1回目は、「水蒸気蒸留法」という蒸気で植物などを蒸して香りを取り出す方法について解説しました。

2回目は柑橘系だけに取られる方法で、果皮表面からしぼり取る「圧搾法」について。

3回目は、最もデリケートな花の香りを効率よく取り出す「溶剤抽出法」についてご紹介します。

ローズやジャスミンはわずかしか取れない希少な香り

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香水などの香料に欠かせないフローラル系の香りといえば、ジャスミンやローズの香り。

ところが、これらの花の香りは大変デリケート。開花すると香りも飛んでしまうため、夜から早朝にかけて一つ一つ手摘みされています。

ラベンダー精油を1kg抽出するために必要な量は約150㎏。それに比べて、ローズは1kg取り出すのに約5,000㎏必要です。

ローズ精油の値段がべらぼうに高くなるのも仕方のないことですね。

ローズは水蒸気蒸留法で取り出した精油もありますが、ジャスミンは溶剤抽出法でとられることがほとんど。それだけ花から取れる精油量が少ないということです。

溶剤抽出法とは?

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溶剤抽出法は、石油エーテルやエタノールといった有機溶剤に花などを漬けて香り成分を抽出します。ドライクリーニングで皮脂汚れなどを取り除く原理によく似た方法です。

有機溶剤には、香りだけではなく、花に含まれるワックス成分(ロウ)も溶け出すため、溶剤が固まります。それを「コンクリート」と呼びます。

コンクリートは減圧・加熱(できるだけ低温)して溶剤分だけを揮発。

これをアルコールに浸して香り成分を移し、今度はアルコール分だけを揮発して残ったものを瓶詰します。

この場合、自然な状態で香りを取り出していないことから「精油」とは呼ばず、「アブソリュート」という名称で呼んで区別します。例えば、ローズ・アブソリュートやジャスミン・アブソリュートなどです。

ローズは水蒸気蒸留法で取り出す場合もあるので、この方法がとられた場合は、ローズ・オットーやローズ精油と呼びます。

また、溶剤抽出法で樹脂から香りを取り出す場合もあり、このときは、アブソリュートではなく、レジノイドという名称に。

例えば、バニラのような香りがする「ベンゾイン(安息香)」は、ベンゾイン・レジノイドと呼ばれています。

溶剤抽出法でとった精油の扱いについて

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香りを取り出す過程で化学薬品を使って効率よく処理するアブソリュートは、本物の香りの再現性に大変優れているといわれています。

このため、香水やルームフレグランスなどに使うには大変有効です。

また、精油の集油量が多いのでコストが下がります。

ところが、精製する過程で溶剤が完全に除去できず、残留する恐れがあります。

このため、アブソリュートで取り出した香りは、アレルギーの可能性が否定できません。アロマテラピーのマッサージやスキンケアなどに使うのは避けましょう。

取り出し方によって変わる香りとその値段

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「精油」とは、自然のまま手をできるだけ加えずに取り出した植物の香りのエキス。自然の恵みそのものです。

同じ植物から取り出した香りといっても、抽出方法により、まったく異なるものになります。

精油の値段は、精油がとれる量、取り出し方の手間やコストと密接に関係しています。

同じ「ローズの精油」といっても、値段に大きな違いがあるのは、育て方や土壌だけではなく、こういった抽出方法の違いにも注目してみてください。

次回4回目は、伝統的な抽出方法である「油脂吸着法」と最先端の抽出方法である「超臨界流体抽出法」についてご紹介していきます。