2018.12.28

アロマオイルトリートメント1
脳と肌は同じ?「脳皮同根」の考え方

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アロマやエステの世界でよく使われることばがあります。

それは「脳皮同根(のうひどうこん)」。

文字通り、「脳と皮膚は根っこが同じ」という意味です。

脳に直接触れることはできませんが、皮膚には触れることができます。

皮膚に触れることで、脳へ効果的に働き掛けることができる。つまり、アロマやエステのトリートメント(タッチケア)には、「脳へメッセージを届ける」行為であるということを意味しています。

今回はこの「脳皮同根」ということばについて解説するとともに、オイルトリートメントが心身を効果的に癒す理由について3回に渡り、ご紹介していきたいと思います。

1回目は「脳皮同根」という言葉との意味と、その考え方をもとにしたオイルトリートメントの有用性について。

2回目はオイルトリートメントに使用する植物油の解説。

3回目はコンディションに合わせた精油のブレンド方法をご紹介したいと思います。

脳と皮膚は根っこが同じとはどういうこと?

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生命の誕生は、1つの受精卵から。精子と卵子が出会い、受精すると細胞分裂を繰り返しながら、1週間後には子宮へ着床します。

体の土台が出来上がるのは受精後8週間後。この時期を「胚子期(はいしき)」といいます。

この時、3つの細胞層「外胚葉」、「中胚葉」、「内胚葉」に区別されます。

三つの胚葉がつくる体のパーツは決まっている

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中胚葉は1本のヒモ「脊索(せきさく)」を形成し、ここに骨をつくる細胞が集まり、背骨や血管、リンパ管などをつくります。

さらに心臓、腎臓、脾臓、生殖器などを形成。イメージとしては、皮膚の下にあるもので、栄養を脳へ送り込む働きを担う部分のパーツを作っています。

この脊索に沿って、お腹側に1本の管をつくるのが内胚葉。

この管は口から肛門までつながっており、消化管(胃や腸)、肝臓、すい臓、呼吸器、甲状腺などを形成します。イメージとしては食べ物を消化し、栄養を体に取り込む役割です。

同じく脊索に沿って、背中側に外胚葉が1本の管を形成。

この管の中には、中枢神経(脳・脊髄)が入っており、末梢神経、皮膚の表皮を含む感覚器の形成を担当しています。

それぞれが形成する体のパーツは決まっており、他の胚葉が代替することはできません。

この時期、外的な要因(化学物質やウイルス感染など)によるダメージを受けると、器官形成が妨げられ、奇形を起こす可能があります。

妊娠初期が大事な時期であるといわれるのは、このためです。

脳と皮膚は同じ「外胚葉」かつくられる

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「脳皮同根」という考え方は、この胚子期に「外胚葉」から脳も皮膚もつくられるというところをベースにした考え方です。

植物の種が土の中から芽を出し、地上へとぐんぐん成長していく姿を思い浮かべてみてください。

植物はやがて葉を大きく広げ、大地に根を張り巡らし、花を咲かせます。

花と葉、根はまったく見た目も違いますし、役割も違いますが、もともとは同じ「種」から作られたもの。

脳や皮膚も一見すると全く別の存在のように感じますが、同じ細胞(胚葉)から分化してできています。

このことから、皮膚に触れることで、間接的に脳に刺激を伝えることができるという考え方が生まれたというわけです。

皮膚に触れる「タッチケア」で幸せホルモンが分泌される?!

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実は皮膚を軽擦(軽くなでさする)する、という行為は私たちが自然に行っている動作です。

幼いころ、転んでけがをしたときに唱える魔法の呪文「痛いの、痛いの、飛んでいけ!」を思いだしてください。

大人になってもぶつけて痛いところを無意識にさすりませんか?そうすると不思議と痛みが軽減するような気がしますよね。

猫や犬を撫でると気持ちよさそうにリラックスしますし、撫でている方も癒されます。

この触れるという行為により、私たちの脳からは「オキシトシン」というホルモンが分泌されることがわかってきました。

幸せホルモンといわれている「オキシトシン」

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オキシトシンは母乳の分泌をうながすホルモンと考えられています。脳の中では視床下部で作られ、下垂体後葉から血液中に分泌されます。

オキシトシンの語源は、ギリシャ語で「Oxytocin=早く生まれる」、つまり時間のかからない出産の意味。

分娩時に子宮を収縮させる働きがあるため、陣痛促進剤としてもよく使われているそうです。

このホルモン、実は人と人(動物)との触れ合い(スキンシップ)によっても分泌されるといわれています。

お母さんが赤ちゃんを抱っこしたり、恋人同士が手をつないだりすることはもちろん、アロマトリートメントなどで人から心地よい刺激(タッチング)を受けても、分泌される可能性がありますね。

「オキシトシン」はストレスとも戦う!

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ストレスホルモンである「コルチゾル」の分泌を抑える働きもあるのでは、ともいわれているオキシトシン。

NHKの「ためしてガッテン」という番組の中で、スウェーデンの生理学者であり、オキシトシン研究の世界的権威、シャスティンウヴォネースモーバリエ博士の研究成果が取り上げられていました。

博士の研究によると、マッサージを受けた人の血圧や心拍数が下がり、ストレスホルモン値も低下したといいます。

また、体重が少ない赤ちゃんにベビーマッサージを行うと、体重が増えるという例も。

落ち着きがなく、乱暴な言動を繰り返す子どもに対しても有効。スウェーデンの学校での実験では、マッサージを受けると攻撃的なふるまいが減少したそうです。

(参考文献:「オキシトシンがつくる絆社会」シャスティン・ウヴネース・モベリ 著 大田康江 訳 井上裕美 監訳 晶文社出版)

アロマテラピーでオイルを使ったタッチケアが重視される理由

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イギリスのアロマテラピーで重視されているのがオイルトリートメント。植物油に精油を入れ、ゆったりとしたリズムで行うタッチケアは至福のひと時です。

植物油を使うことで、手の滑りをよくし、精油の香り立ちをゆっくりさせることで、長く楽しめます。

アロマオイルトリートメントの目的は?

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アロマのオイルトリートメントの目的は、まずは「精油の香りをかぐ」ということ。

嗅覚を通して、脳へ香りの刺激を届けます。精油が持つ、記憶やイメージへの刺激など、精神的・生理的な作用を引き起こします。

また香りを積極的に吸入することで、空気とともに香りの成分が、全身をめぐります。

また、皮膚に触れられることで緊張が解きほぐされ、心身をリラックス。血行が促進されることで、疲労物質などが早く排出されるなど、全身的な作用も期待できます。

アロマオイルトリートメントは日本人には物足りない?

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英国式のアロマトリートメントとは、スウェーディッシュマッサージ(軽擦法)と呼ばれています。

手のひらや指を肌に密着させ、なで、擦る様に動かす手技です。

東洋式のマッサージ(指圧も含む)だと、もっと強く、もみほぐすような手技なので、初めてアロマトリートメントを受けると「物足りないな」と思われる方が多いようです。

手技の違いは、筋肉の違い。欧米人は筋肉が柔らかく、東洋人は固いという傾向があります。

このため、西洋人は東洋式のマッサージを受けると苦痛に感じますが、東洋人は痛気持ちよいと感じるというわけです。

スウェーディッシュマッサージは、心臓から遠いところからスタートする「求心性」のもので、静脈に働きかけ、血行を促すもの。体力がない年配者や小さなお子様にも優しい手技です。

東洋式のマッサージは逆に、心臓に近いところからスタートする「遠心性」で、活力アップや心身の機能を高めるものとイメージするとわかりやすいでしょう。

英国では代替医療として注目されてきたアロマオイルトリートメント

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アロマトリートメントは、植物油で精油を肌にのせても安全な濃度まで希釈。やさしく体をさすることにより、人の手のぬくもりを伝え、リラクゼーションを促すのが狙いです。

精油も植物油も、日本では「雑貨」や「化粧品」として扱われています。

ただ、精油の香りは嗅覚を通じて脳へと届き、「快・不快」の感情を呼び覚ますものです。

アロマトリートメントの目的は、こういった香りによる「感情の反応」を引き出すためのもので、筋肉のコリをほぐすためのものではないということ。

人と人との触れ合いにより「幸せホルモン」の分泌が促され、結果的に緊張がほぐれ、心身がゆったりと癒されるはず。

アロマトリートメント(スウェーディッシュマッサージ)は、英国などでは代替医療として位置づけられ、病院のボランティアなどでも積極的に取り入れられてきた歴史があります。

薬を飲むだけでは癒されない心の痛みに寄り添うこと。それがアロマトリートメントの魅力なのかもしれません。

アロマオイルトリートメントはまさに「手を当てること」

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「手当て」ということばを聞くと、病気や傷の治療(医療行為)というイメージを受けます。

でも病院で受ける治療よりも、お母さんや親しい人が背中を擦ってくれるやさしさ、撫でてくれた手のひらのぬくもりが心地よいと感じませんか?

特に心が弱っているとき、疲労しているときは、人との温かな触れ合いに救われます。これこそまさに「手当て=手を当てる」という意味ではないでしょうか。

アロマセラピストは心地よい時間を過ごしてもらうため、たくさんの勉強とトレーニングを積み、心地よい人への触れ方や信頼関係の築き方を学びます。エステシャンも同じです。

中にはこの人に施術してもらうと劇的に癒されるという「ゴッドハンド」の持ち主もいらっしゃいます。

医学的な根拠は何もありませんが、私たちの「手のひら」には人を癒す力が秘められており、「皮膚」と「脳」はやはりつながっていると感じる瞬間です。

アロマトリートメントは脳を喜ばせる行為

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日本人にはあまりなじまないアロマのオイルトリートメント。

服を脱ぐのが恥ずかしいし、面倒。オイルで服が汚れる。施術の値段が高いなど、なかなか身近なものと感じられない方も多いことでしょう。

でも、アロマ本来の魅力を最も感じることができるのはオイルトリートメントです。

ハリやコリを感じているところにオイルをつけて、優しく擦るだけで、不思議と心が安らぎ、痛みが軽減するのを感じてみてください。

トリートメントの後も、精油がやさしく香り続けているのを実感してみましょう。

もちろん自分だけではなく、誰かにやってあげても喜ばれるはず。

身近な人へのタッチケアや震災ボランティアとしてハンドトリートメントは大変有効な手段。

各アロマテラピー団体で、このハンドトリートメントが学べる講座を開催しています。

興味を持ったら、問い合わせてみてはいかがでしょうか。

次回はオイルトリートメントにおすすめの植物油の解説、3回目はコンディションに合わせた精油の選び方とブレンドレシピについて解説します。