2019.01.01

アロマオイルトリートメント2
肌に使用する植物油の基礎知識

shutterstock_1061489849

英国式アロマテラピーで最も重要なケアはオイルトリートメントと言われています。

そこには、脳に直接触れることはできませんが、皮膚を介して効果的に心身のケアができるという考え方が根底にあります。

「脳と皮膚は根っこが同じ」を意味する「脳皮同根(のうひどうこん)」ということば。脳も皮膚も、同じ細胞から発生した器官だからそういわれるようになりました。

1回目はこの「脳皮同根」という考え方について解説。アロマのオイルトリートメントは最も効果的に心身をケアできる理由について紹介しました。

2回目は、実際にオイルトリートメントで使用する植物油の基礎知識をお届けします。

最終回の3回目はコンディションに合わせた精油のブレンドとトリートメント方法についてご紹介していきましょう。

アロマトリートメントで使用する植物油について

shutterstock_155027159
アロマテラピーは自然の力、植物のエキス(=香り)を使った癒し方法。

オイルトリートメントに使用する植物油も、できる限り人の手を加えない、自然のもの使用したいものです。

でも、アロマテラピー用として販売されている植物油はとても高いと思いませんか?

スーパーなどで売られているオリーブオイルやサラダ油ではダメなのでしょうか?

アロマテラピーには専用の植物油を使用した方がいい理由

shutterstock_193533122
一見、食用として体に取り入れている植物油の方が安全なように思います。

ところが食用の油は、たくさんのオイルを効率よく搾油するため、機械でガンガン処理しています。機械は動かすと熱を持つため、油の中に含まれる成分が失われがちです。

また、アーモンドはたくさん油が採れるため、溶剤などを使用して効率よく搾油することがあります。

特に「サラダ油」という名称で売られているものはいろんな油をブレンドし、不純物を除去して精製したもの。素材の味を引き出し、料理をおいしく仕上げる目的で作られているので、トリートメントには向いていません。

実はアロマテラピー用の植物油、できるだけ自然のままの状態を保つため、「コールドプレス(低温圧搾法)」で搾油します。

機械を冷やしながら、低温でゆっくりと絞るため、熱による変質を受けにくいのが特徴。

値段が高くなるのは、製造に時間と手間がかかっているからです。

ベビーオイルや化粧品用のオイルではダメ?

shutterstock_45573697
ベビーオイルはミネラルオイル(鉱物油)。石油から精製してつくられています。肌にオイルの被膜をつくり、保護するのが目的で使われてきました。

アロマテラピーは、植物(有機物)の力をできるだけ手を加えずに取り入れる自然療法です。

でも、ベビーオイルは石油(無機物)から作られるものなので、アロマテラピーの目的とは合いません。

また、植物油は「キャリアーオイル」とも呼ばれ、「精油」を運ぶ(キャリー)ための油ということ。

アロマテラピーにおける「植物油」は伝統的に、精油の香りを楽しむだけではなく、心体肌へメッセージを届ける「キャリアー」として考えられてきました。

化粧品用のオイルでももちろん構いませんが、コールドプレス(低温圧搾法)で搾油されたものであるとは限らないこと。

また、化粧品の認可を受けるために、コストがかかり、むしろ値段が高くなってしまう場合もあるということを覚えておきましょう。

オイルトリートメント用の植物油の種類は?選び方は?

shutterstock_702160327
ハーブショップに行くと、たくさんの種類の植物油が売られています。

どの植物から採られたかにより、栄養価も使い心地もさまざま。肌質や目的に合わせて選ぶことで、お手入れ効果も期待できます。

オイルだけでケアする「オイルテラピー」というのも存在するのですよ。

ナッツ系のオイルは、肌を柔らかくし、しっとり整える

shutterstock_248205856
爪の甘皮のお手入れなどによく使われるスイートアーモンドオイルは、肌を柔らかに保つといわれています。

ビタミンA、B1、B2、B6、ビタミンEが含まれ、肌にたっぷりとうるおいを与えてくれます。アーモンドは何度も油を搾れるため、溶剤で圧搾されることが多く、値段の安いオイルは注意が必要です。

比較的酸化しにくい(腐りにくい)オレイン酸が多いので扱いやすいオイルです。

同じナッツ系のマカデミアナッツオイル。こちらは、パルミトレイン酸を多く含んでいるのが特徴です。パルミトレイン酸は若者の肌に多く含まれている保湿成分で、年齢とともに失われていくことが知られています。

少し値段が高いため、フェイシャルに人気のあるオイルです。

●スイートアーモンドオイル(普通肌~乾燥肌向き)
・エモリエント(肌をやわらかに保つ)作用
・ビタミン豊富で栄養価が高い
・比較的酸化しにくい(未開封で6か月~1年ぐらい持つ)
・値段が手ごろ(極端に安いのは注意)

●マカデミアナッツオイル(乾燥肌・老化肌向き)
・エモリエント(肌をやわらかに保つ)作用
・年齢とともに失われがちな保湿成分、パルミトレイン酸が豊富
・比較的酸化しにくい(未開封で6か月~1年ぐらい持つ)
・値段は高めなのでフェイシャルにおすすめ

グレープシードオイルは、さっぱりして手のすべりが抜群

shutterstock_730102819
グレープシードオイルはお料理にもよく使われるもので、ブドウの種を絞って採ります。

ほとんど無色でサラサラしているため、オイリースキン向き。ワインの蒸留で残った種を使うので値段も比較的安いのが特徴です。

細胞や粘膜を保護し、コレステロールを下げるとした研究が話題になったリノール酸が豊富。栄養がある反面、酸化しやすいので開封したら早めに使い切るようにしましょう。

肌質を選ばないオイルとして人気。

粘性の高いオイルとブレンドして、手の滑りをよくする目的でもよく使われます。

●グレープシードオイル(オイリー肌~普通肌)
・値段が安い
・サラサラしていて手の滑りがよく気持ちがいい
・リノール酸豊富で肌をみずみずしく整える
・酸化しやすい(未開封で3か月ぐらい)

古来より日本で活用されてきた椿(カメリア)オイルやセサミ(胡麻)オイル

shutterstock_1037930629
椿オイルといえば、お相撲さんの鬢付け油ですよね。

人の皮脂に近い成分が多く、肌へのなじみがとてもいいことでも知られています。髪に艶を与える効果が高いので、ヘアケアにもぴったりです。

高温に強く、酸化しにくいため、大島では椿油の天ぷらが名物になっています。粘性が高いので単品だと手の滑りが悪いので、他のオイルにブレンドして使います。

胡麻油と聞くとあの焙煎した香ばしいイメージがありますが、トリートメント用のものはほぼ無臭です。

ビタミンA、B、E、カルシウム、マグネシウム、リンを豊富に含有し、酸化しにくいので扱いやすいオイルです。夏はナッツ系のオイルだとべたつく感じがするので、セサミオイルを試してみてはいかがでしょうか。

●カメリアオイル(普通肌~乾燥肌向き)
・保湿力抜群で肌になじみやすい
・髪をつややかに整えるのでヘアケアにおすすめ
・比較的酸化しにくい(未開封で6か月~1年ぐらい持つ)
・値段が高く、粘性が高いのでブレンドして使う

●セサミオイル(オールスキンタイプ)
・ビタミンやミネラル豊富で肌なじみも抜群
・インドの伝統的な自然療法「アーユルヴェーダ」に欠かせないオイル
・比較的酸化しにくい(未開封で6か月~1年ぐらい持つ)
・値段はやや高め

酸化しにくいホホバオイル

shutterstock_728117881
実はホホバオイルは油ではなく「液状ワックス」。低温になると固まります。酸化しにくいのでクリームや練香水などによく利用します。

未精製のものは黄色っぽい色をしているので「ゴールデン」といい、粘性が高いため、トリートメント用に精製する場合もあります。

ビタミンEが豊富で皮脂に似た分子構造をしているため、スキンケアやヘアケア製品によく使用されており、比較的身近なオイルかもしれません。

べたつかず、肌をなめらかにすべすべに整えてくれます。

●ホホバオイル(オールスキンタイプ)
・保湿力抜群で肌をすべすべに
・皮脂バランスを整えるといわれており、ヘアケアに人気
・酸化しにくい(未開封で1年以上)
・値段は高め、未精製のものは粘性が高いのでブレンドで
・まれにホホバアレルギーの人がいるので注意

ちょっと特殊、ハーブを漬け込んで作る浸出オイル

shutterstock_155929091
古代エジプト時代からお肌のお手入れによく使われてきたカレンデュラオイル。マリーゴールドをひまわり油などに漬け込み、成分を浸出させて作ります。

もしかしたら、あのクレオパトラも使っていたかもしれませんね。肌が乾燥しやすい人におすすめオイルです。

ハーブのサプリメントとして有名なセントジョンズワート(オトギリソウ)を浸出して作るオイルもあります。

花の色が溶け出して真っ赤になることから、中世ヨーロッパでは「聖ヨハネの血」と呼び、信者たちの間で奇跡を起こすオイルとして珍重されてきました。

いずれも油にハーブを漬け込んで作るため、より一層腐りやすいので注意しましょう。

美容オイルとして人気!搾油率が低いのでお値段も高め

shutterstock_721915252
コスメファンの間で注目を集めるローズヒップオイル。バラの実(種子)から採れる希少なオイルで、ビタミンCやリノール酸を豊富に含み、乾燥肌によいといわれています。

また、月見草(イブニングシード)は、肌では作れないガンマーリノレン酸が豊富というちょっと特別なオイル。

いずれのオイルも搾油率(油が採れる量)が少ないため、お値段もそれ以上。また、腐りやすい(酸化しやすい)ため、なかなか手がでないオイルです。

ただ、メイク前の下地として使うと、化粧崩れしにくく肌が乾燥しにくいのが魅力。悩ましいところです。

オイルトリートメント用の植物油まとめ

shutterstock_678934510
植物の種類によってオイルの栄養価も個性もさまざま。肌質や扱いやすさ、値段などで使い分けることもできます。

サロンなどではコスパの良さや扱いやすさが重要ですし、個人で自分用に使うならスキンケア効果や肌質に合わせて選ぶのもあり。

いろんなオイルに触れてみて、自分にとって使い心地の良いものを選んでみてはいかがでしょうか。

※手作り品の場合は自己責任でご使用ください。
※植物油は開封してから1週間~2週間を目安に使い切るようにしましょう。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止。水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。