2019.01.11

アロマテラピーの名脇役【後編】みつろうで楽しむ簡単手作りレシピ

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アロマテラピーは精油を主役に、香りを楽しむもの。

ただし、精油は自然の状態に比べ100倍以上に濃縮されたものであるため、そのまま嗅ぐと決して心地よいものではありません。

また香りに含まれている成分は天然の化学物質。直接触れると肌や粘膜などを刺激する可能性もあります。

そこで登場するのが基剤(キャリアー)。精油を安全な濃度まで薄め、ほどよい香りを届けてくれる“キャリアー(=運ぶもの)”として働く名脇役です。

前編では、香りを鼻に届ける基剤の種類とその使い分けについて。

後編では、アロマテラピーのホームケアやアロマクラフトで大活躍する基剤、「みつろう(蜜蝋)」について詳しくご紹介していきたいと思います。

また、みつろうを使ったリップクリームやハンドクリームなどの化粧品、キャンドルなどの作り方、おすすめの精油ブレンドも紹介しますので、ぜひお試しください。

アロマテラピーのホームケアに大活躍のみつろう

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みつろうはミツバチが巣を作る時に分泌するワックス。

脂肪酸(パルミチン酸やセロチン酸など)やワックスエステルなどを主成分に、はちみつや花粉、プロポリスなど、ハチが他につくるものが微量ながらも含まれています。

古代エジプトではミイラづくりにも使われ、ろうそくの材料として欠かせないものでした。

現在でも化粧品や塗り薬などにもよく使われています。

ミントやレモンが香るリップクリーム

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みつろうはクリームの硬さを調整するのに便利で、リップクリームを手作りするのにはぴったりな基剤です。

アロマテラピーでみつろうを使ったクリームのことを「ポマード」と呼びます。ポマードとは練状のもの、固形状のものを指すことばです。

<基本のリップクリーム材料>
・夏バージョン みつろう1gに対して植物油4ml(1:4の割合)
・冬バージョン みつろう1gに対して植物油5ml(1:5の割合)
(例:10mlの容器なら、みつろう2gに対して植物油8mlになります。)

リップクリームにおすすめの植物油は、スイートアーモンドやマカデミアナッツオイル、オリーブオイルなど。

入れる精油は1滴~2滴で、夏はペパーミントやティートリーがおすすめ。冬はオレンジやレモンが合いそうですね。

ミントとレモン、ティートリーとオレンジをそれぞれ1滴ずつ組み合わせてもよい香りになります。

もし手に入るなら、はちみつアブソリュートもおすすめです。

大き目の鍋にお湯を沸かし、耐熱容器(ビーカーやガラス瓶など)にみつろうと植物油を入れて弱火で湯煎します。

みつろうは60度ぐらいから溶け始めますので、ガラス棒などでかき混ぜて完全に液体になるまでゆっくり温めます。

溶けたら容器に移し、精油をたらし、楊枝などでかき混ぜ、冷えて固まれば出来上がり!

つけるたびに口元から自然な香りが立ち上り、とてもリラックスできます。

香るリップグロスや口紅を手作り

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みつろうは口紅作りにもぴったりです。

リップクリームと同じ配合でもできますが、より光沢が出て安定した固さに仕上げるため、キャンデリラワックスをブレンドするのがおすすめです。

キャンデリラワックスはアメリカ南部やメキシコなどの半乾燥地帯に生息する、トウダイグサ科の植物キャンデリアの茎から抽出した天然のワックス(ろう)です。

リップカラーの色付けにはカラーマイカ(着色雲母)を使います。

マイカは白雲母(アルミニウム・カリウムを含むケイ酸塩鉱物)や金雲母を粉砕して作られた顔料。

これに酸化鉄やチタンなどで着色コーティングした色材がカラーマイカです。

ファンデーション、口紅、アイシャドウなどの色づけ素材として一般的に使われており、ハーブショップやネットショップで手に入ります。

<ベースの口紅材料>
・みつろう 0.5g
・キャンデリラワックス0.5g
・キャスターオイルもしくはオリーブオイルなど4ml
・カラーマイカ0.4g
※リップスティックもしくは、コンパクトケース5ml容量のものを想定

口紅におすすめのキャスターオイルは和名でひまし油。古からよく使われてきたオイルの一つで、市販の口紅にもよく使われています。

カラーマイカは暖色系、寒色系、さまざまなカラーバリエーションがありますので、いくつかブレンドして好みの色を作れます。

大き目の鍋にお湯を沸かし、耐熱容器(ビーカーやガラス瓶など)にみつろうとキャンデリラワックス、植物油を入れて弱火で湯煎します。

溶けたら容器に移し、カラーマイカを入れてよくかき混ぜます。香りをつけたいときは、この時一緒に精油を入れてください。

※手作り品の場合は自己責任でご使用ください。
※リップクリームや口紅は1ヶ月~3か月を目安に使い切るようにしましょう。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止。水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。

ハンドクリームやフットクリームを手作り

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市販のハンドクリームだと保湿力が物足りない、香りが強すぎると感じる方に、精油で香り付けをした自然の使い心地のみつろうクリームはおすすめです。

また冬になるとかかとがかさついて、ストッキングがひっかかるという人にはフットクリームに。お風呂上りに塗っておくと、朝までしっとり感が続きます。

みつろうに加える植物油の種類を変えると、違った使い心地に仕上がります。

さっぱり感が好きな方ならセサミオイル、しっとり感が欲しい人はスイートアーモンドというようにいろんなオイルで試してみましょう。

<ベースのクリーム材料・20ml入り容器>
・みつろう 4g
・スイートアーモンドオイルなど16ml
・精油 4~8滴

大き目の鍋にお湯を沸かし、耐熱容器(ビーカーやガラス瓶など)にみつろうと、植物油を入れて弱火で湯煎します。

溶けたら容器に移し、精油を入れてよくかき混ぜて出来上がり。

この時、容器を机にトントンとたたくようにして中に入った気泡を抜くようにします。気泡が残ると酸化しやすくなるので注意です。

<おすすめの精油ブレンド>
●フローラル系
・ローマンカモミール 1滴
・ラベンダー 1滴
・ゼラニウム 1滴
・サンダルウッド 1滴
※合計8滴にする場合は、ラベンダーとサンダルウッドを3滴ずつで

●救急ハンド(伝統的なレシピ)
・没薬(ミルラ)
・乳香(フランキンセンス)
・安息香(ベンゾイン)
※それぞれ同じ滴数で最大3滴ずつまで。古代から肌荒れによいとされてきたレシピです。

●フットクリーム向けのレシピ
・ラベンダー 2滴
・ティートリー 2滴
※冬場はスパイス系の香り(ブラックペッパーやジンジャー、カルダモンなど)を1滴加えると、足元がポカポカしてよく眠れます。

※手作り品の場合は自己責任でご使用ください。
※ハンド&フットクリームは1ヶ月~3か月を目安に使い切るようにしましょう。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止。水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。

バターを使ったボディバー

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みつろうよりも融点の低い植物性のバターと組み合わせて、肌の上に乗せた時に溶け出す、固形タイプのクリーム「ボディバー」を作ってみましょう。

手に入りやすいのは、チョコレートの材料でおなじみのココアバターやシアバター、マンゴーバターなどです。

<ベースのクリーム材料・1個55g>
・みつろう 15g
・ココアバター 15g
・スイートアーモンドオイルなど15ml
・精油 5~10滴

耐熱容器に精油以外の材料を入れ、湯煎で溶かします。溶けたら型に流し入れ、精油を加えて冷やし固めます。

ボディバーを固める容器は、手で握りやすいように、四角いケーキ型やプリンカップ、洗った牛乳パックでも利用できます。

※手作り品の場合は自己責任でご使用ください。
※ボディバーは1ヶ月~3か月を目安に使い切るようにしましょう。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止。水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。

練香水を楽しむ

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アルコールベースの香水やオーデコロンなどは、香り立ちがよい反面、長続きしません。また、強い香りが苦手という方もいらっしゃるでしょう。

そんな時はみつろうをベースにした練香水はいかがでしょうか。

植物油ではなく液体ワックス、ホホバオイルが腐りにくいのでおすすめ。

濃度が高いので、手首の内側や耳の後ろ、足首など狭い範囲に少しつけるようにします。

おすすめは髪の毛の先。ふわりと揺れるたびにほのかに香りますし、毛先のパサつきも防げます。

<ベースのクリーム材料・10ml入り容器>
・みつろう 2g
・ホホバオイルなど8ml
・精油 20滴(10%濃度)

耐熱容器(ビーカーやガラス瓶など)にみつろうと植物油を入れて、弱火で湯煎します。

溶けたら容器に移し、精油を入れてよくかき混ぜて出来上がり。

<おすすめのブレンド>
●ネロリ系
・ベルガモット 8滴
・オレンジ 6滴
・ネロリ 3滴
・プチグレン 2滴
・ベンゾイン(安息香) 1滴

●ローズ系
・オレンジ 8滴
・ゼラニウム 5滴
・ローズアブソリュート 2滴
・パチュリ 2滴
・サンダルウッド 3滴

●ジャスミン系
・ベルガモット 8滴
・ジャスミンアブソリュート 2滴
・イランイラン 6滴
・ベチバー 1滴
・パチュリ 3滴

※いずれのブレンドでも柑橘系を使用するので、直射日光が当たらないところにつけるのがおすすめ。
※手作り品の場合は自己責任でご使用ください。
※3か月ぐらいを目安に使い切るようにしましょう。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止。水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。

アロマクラフトとしてみつろうを使う

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古代からろうそくとして大切に使われたみつろう。パラフィンに比べて煤(すす)が少ないので、お部屋の中で使用するには便利です。

精油で好きな香り、みつろうクレヨンを使って色付けを楽しむのもいいですね。キャンドル用の芯が売っているので、手軽につくれます。

キャンドルの炎には、自然界が持つ「1/fゆらぎ」と呼ばれる癒しの周波数があります。人の心拍リズムと同調して、リラックスや心地よさをもたらすリズムだといいます。

精油の香りとともに楽しめば、より癒されますね。

グラスキャンドル

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リップクリームやハンドクリームを手づくりしたときと同じ、タブレット状のみつろうを溶かして耐熱容器に流し込んでつくるグラスキャンドル。

そのままテーブルの上に置いて使えるので便利です。

耐熱容器がない場合は、紙コップに流し込んで形を作り、キャンドルホルダーなどに置いて使うこともできます。

<ベースのクリーム材料・10ml入り容器>
・みつろう 200g
・手作りキャンドル用の芯と座金
・未使用の割りばし
・精油 10~20滴

大き目の鍋にお湯を沸かし、耐熱容器(ビーカーやガラス瓶など)にみつろうを入れて弱火で湯煎します。

芯をみつろうの中につけて取り出し、まっすぐに引っ張り、乾かしておく。

この芯を割りばしの間に挟み、耐熱容器もしくは紙コップの中央に置く。芯の座金が容器の底にまっすぐつくようにセット。

湯煎で溶かしたみつろうを容器に静かに注ぎ精油を加えてさっとかき混ぜる。

みつろうが固まるまで、半日から1日そのまま置いておいて出来上がり。

みつろうにドライハーブを入れる、クレヨンで色付けするなど楽しんでもいいですね。

夏ならアウトドアでも活躍する虫よけ効果のあるアロマキャンドルを作ってみましょう。

使用するのは虫が嫌うシトロネラやレモンユーカリ、レモングラス、ゼラニウムやラベンダーなどのブレンドがおすすめです。

伝統的な「デッピング」で作る

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時間がかかりますが、昔ながらの作り方「デッピング」も併せてご紹介しておきましょう。

食べ終わった後の缶詰で、スチール缶を良く洗い、みつろうを入れて湯煎で溶かします。

缶の高さよりも長く切ったタコ糸をみつろうに浸し、引き上げを何度も繰り返し、形を作っていきます。

湯煎で溶けたみつろうが手に着くとやけどをするので、軍手をはめるなど、気を付けて作業してください。

この方法だと香りをつけるのが難しいので、溶かしたみつろうにハーブを入れたり、お抹茶などを加えてもいいかも。作業している間も自然の香りで癒されそうです。

固さやオイル、精油との組み合わせでいろんな用途のクリームになるみつろう

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みつろうは天然のワックス。肌のうるおいを守り、とどまることで香りを長く楽しむことができる基剤です。

少し固めに仕上げればリップクリームに、オイルを多めに入れ、融点の低いシアバターやココナッツバターを加えると柔らかめに仕上げることもできます。

香りの種類によって朝はリフレッシュ系で、夜はリラックス系と使い分けることもできますし、濃度を高めにブレンドすれば練香水にもなります。

キャンドルづくりなどアロマクラフトにも応用できるみつろうは、何役もこなせる優秀な名脇役。

ぜひみつろうを使った、アロマテラピーのホームケアにチャレンジしてみては?