2018.12.18

調香を楽しむための基礎知識2
精油のノート(調子)による香りの組み立て方

精油に親しんでいくと、いくつかの香りを組み合わせて、自分なりのオリジナルブレンドに挑戦したくなりませんか?

実はアロマテラピーは、1種類の香りを単体で使用するのはまれで、基本は3種類から5種類ぐらいをブレンドして使います。

その理由は精油の揮発スピードを緩やかにし、長く香りを楽しむためと、目的や狙いに合うバランスのとれた香りを心地よく楽しむためです。

オリジナルブレンド(調香)を楽しむための基礎知識を全4回に渡り、解説していくシリーズ。

1回目は香りをブレンドする際に手掛かりとなる、もっともポピュラーな分類方法「フレグランス・チャート式」についてご紹介しました。

2回目は精油が持つ香りのノート(調子)を使って、バランスの良い香りの「組み立て方」について解説していきます。

この後、3回目は別の分類方法「サイコ・アロマ・チャート式」について、4回目は歴史に名を遺した名香からブレンドのヒントを探ります。

香りのノート(調子)とはどんなもの?

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香りのノート(調子)という言い方をする場合、2つの意味があります。

1つは香りの持続性(揮発スピード)を表す場合。

最初に立ちあがってくる軽い香りのことを「トップノート」、最後に感じる重い香りを「ベースノート」、その2つの香りの間をつなぐ「ミドルノート」の3種類があります。

そしてもう一つは、香りの質について指す場合で、フローラルノートやシトラスノートなどというように、香りのイメージを説明する場合に使います。

香りをブレンドする場合は最低3種類必要

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自分好みのブレンドを完成させるために必要なのは、トップ・ミドル・ベースを考慮して精油を選ぶこと。

トップ気味の香りとベース気味の香りだけだと、途中をつなぐものがなく、間が抜けたブレンドになってしまいます。

また、ベースノートばかりだと、なかなか香り立ちが鼻に届かないというように、やはり微妙なブレンドになってしまいます。

つまりトップ・ミドル・ベースから各1本ずつ精油を選び、最低3種類以上でブレンドを考えるのがコツ。

ただし、5種類を超えてしまうと、初心者にはちょっと難しくなるかもしれません。

トップ・ミドル・ベースの境目は?

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例えばペパーミントなどは、嗅いですぐにすーっとしたメントールの香りが感じられます。でも、柑橘系に比べたら長く香りが残っている気がしませんか?

このように、トップとミドル、ミドルとベースの境目は非常にあいまいです。

精油をトップ・ミドル・ベースに分ける基となったのは「パウチャー式」といわれるもの。

パウチャーという人物が、精油の揮発スピードを1~100までに分け、14までをトップノート、15~60までをミドルノート、61~100までをベースノートと定めたそうです。

それもかなりアナログな調べ方で、試香紙と呼ばれる細長く切った紙に精油をたらし、時間をおいて香りをかぎ、残り香を感じなくなった時間をひとつひとつ「彼の鼻」で測定して決めました。

このため、パウチャー式で「ミドルノート」としていても、「ベースノート」だと感じる人もいます。

実際にブレンドする時は、自分が感じた印象でこの精油は「トップ気味だな」、「ベース気味だな」というように柔軟に考えて使いましょう。

トップ・ミドル・ベースノートで精油をグルーピングしてみましょう

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それでは具体的にどの精油が、どのノートにグルーピングされるか、具体例を見ていきましょう。

最も軽い香り「トップノート」

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トップノートに分類されるのは主にレモンやオレンジなどの柑橘系の香り。精油に含まれる化学成分に軽い分子が多いため、揮発性が高く、早く鼻に届きます。

香り立ちがいい半面、持続性がないため、すぐにいなくなってしまいます。

ブレンドされた香りの中で、第一印象を決める鍵になるのがトップノート。

オレンジなら甘い印象、レモンなら爽やか、グレープフルーツならちょっと苦みのあるすっきり系というように、同じブレンドであってもトップの香りを違う柑橘系に変えるだけで、全然違うイメージに仕上がりますよ。

最も重い香り「ベースノート」

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ベースノートに分類されるのは主に樹脂や樹木系の香り。精油に含まれる化学成分の分子が重いため、ゆっくりと揮発し、最後に鼻に届きます。

香り立ちは悪いものの、持続性があるのが特徴。トップノートの香りと結びついて、保留剤の(香りを長くとどめる)役割を担います。

同じベースノートでもフランキンセンスなら爽やかで比較的軽めの香りに仕上がり、ベンゾインは甘く重い香りに仕上がるなど、同じ樹脂系でも印象は全然違うものになります。

また、サンダルウッドやパチュリーなどは、長く置けば置くほど熟成し、素晴らしい香りになるようなものもあります。

トップとベースをつなぐ「ミドルノート

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ミドルノートはトップとベースの中間ぐらい、主に花やハーブ、スパイスの香りがこのグループです。

揮発するスピードは中程度。ブレンドした香りに豊かさや奥行きをもたらすつなぎの橋になります。

ブレンドした香りの中核となるもので、ローズを選べば華やかな印象に、ゼラニウムを選べばグリーンフローラルのさっぱりとしたイメージに仕上がるなど、テーマに沿ったブレンドの組み立てに欠かせない1本になります。

香りの「質」を表す場合のノートにはどんな種類がある?その分類は?

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1回目で植物の部位別に香りを分類したのが「フレグランス・チャート式」。

花の香り、ハーブの香り、樹木の香り、柑橘の香り、スパイスの香り、樹脂の香り、エキゾチック(オリエンタル)な香りの7種類あります。

この7種類にそれぞれ「ノート」をつければ、そのまま香りの「質」を表す言葉になります。

花なら「フローラルノート」、ハーブなら「ハーバルノート」、樹木なら「ウッディ&グリーンノート」、柑橘なら「シトラスノート」、スパイスなら「スパイシーノート」、樹脂なら「バルサム・レジンノート」、エキゾチックなら「オリエンタルノート」という具合です。

これに加えて香水業界では、花の香りを中心にした華やかで甘い香調を表すものとして「フローラルブーケ」、甘みの少ない落ち着いたトーンの「シプレ」、男性の香水に多い「フゼア」などいくつかバリエーションがあります。

精油を使って自然香水をブレンドする楽しみとは?

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商業品として販売するわけではなく、自分の楽しみとして精油を用いて香水をブレンドする楽しみとはどんなところでしょうか?

それは、単純に香りを楽しむということだけではなく、植物が持つ香りの力を期待して仕上げることができるということです。

例えば「ストレスを緩和し、元気を出す香り」というように、目的に合わせた精油を選び、ブレンドすることができます。

具体的には、元気を出すオレンジ(トップノート)、ストレスを緩和してくれるラベンダー(ミドルノート)、イライラを鎮めて落ち着かせてくれるサイプレス(ミドル~ベースノート)の3本を選んでブレンドしたとしましょう。

同じ組み合わせでブレンドしたとしても、AさんとBさんでは微妙に違う香りに仕上がります。Aさんが持っている精油のブランドや購入した時期がBさんとは異なるからです。

Aさんが時期を置いて、同じ精油を使ってブレンドしても違う香りになるかもしれません。

自然の精油を使ってつくる香水はまさに一期一会。二つとして同じものがつくれないところもまた、魅力の一つなのではないでしょうか。

精油を使う場合は香りの個性・作用も考慮する必要がある

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精油を使う上で気をつけなければならいポイントはもう一つあります。それは香りの親しみやすさです。

例えば、イランイランやジャーマンカモミールなどは非常に主張が強く、日本人にはあまりなじまないタイプの香りです。

精油の香りをかいだ時にちょっと強いな、苦手だなと感じるものは、量を少なめにブレンドするというように調整するといいでしょう。

香りのノート(調子)を考慮し、オリジナルの香りをつくるポイントまとめ

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まずはどんな香りにしたいか、アロマテラピー効果を狙うなら目的を明確することからスタートします。

●ブレンドの狙いを決める(ストレスを軽減する、元気を出す、集中力をアップするなど)
●ブレンドの用途を決める(香水にするのか、ルームフレグランスにするのか、マッサージオイルを作るのかなど)
●ブレンドの濃度と容量を決める(香水やルームフレグランスなら精油の濃度は10~20%と高めに、マッサージなら1~2%に抑えるなど)
●ブレンドしたい精油を決める(トップ・ミドル・ベースの最低3種類~5種類ぐらいまで)
●精油の香りの個性や香りの強さを考慮して滴数を調正する

一つのブレンドを創作する時は、出来上がった香りの印象や良かった点、失敗したと感じた点をメモしておきましょう。

調香に正解はありません。自分にとって心地よいと感じるものがベストです。経験や失敗を積み重ねていくことがより魅力的なブレンドを創る近道。ぜひ、チャレンジを続けてみてくださいね。

【参考資料】
<トップノートの精油目安>

オレンジ・グレープフルーツ・ベルガモット・レモン・ペパーミント・ユーカリ・ティートリー・ローズマリー・レモングラスなど

<ミドルノートの精油目安>
ローズ・クラリセージ・ゼラニウム・サイプレス・ブラックペッパー・メリッサ・ジュニパー・ラベンダー・カモミール・マジョラム・ネロリ・ジャスミン・イランイランなど

<ベースノートの精油目安>
フランキンセンス・ミルラ・サンダルウッド・ベチバー・パチュリー・ベンゾインなど

※香水やコロン、マッサージオイルなど、肌に直接つけるものを制作する際は自己責任になります。
※使用前には必ず、パッチテストを行い、赤みや刺激を感じた際はただちに使用を中止し、水や石鹸等で洗い流し、場合によっては医師の診断を受けるようにしましょう。