2019.01.29

同じラベンダーの精油なのになぜ値段が違う?アロマの品質と選び方

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ハーブショップの店頭やインターネットの通販でラベンダーの精油を買おうと思うと、実にたくさんのメーカーやブランドがヒットします。

産地もバラバラで、値段も安いものから高いものまでいろいろ。何を基準に選んだらいいか迷いますよね。

今回は、誰もが1度は手にする、アロマテラピーの基本ともいえるラベンダーを例にとって、精油の値段を決める品質の見極めや選び方について解説していきましょう。

ラベンダーを含め、精油を正しく選ぶには学名が大事

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通常、ラベンダー精油として流通しているのは2つの種類の学名があります。

学名とは、国際植物命名規約に基づいて決められたもの。「属名」と「種小名」をラテン語(もしくはギリシャ語)で列記します。

この「2命名法」は、スウェーデンのC.リンネやフランスのA.L.ジュシューによる「自然分類法」を基に体系づけられました。

学名は全世界共通なので、精油を購入するときの正しい「目印」になるというわけです。

例えばフランス語やアラビア語が読めなくても、この学名を頼りに海外で本物の精油が購入できます。

逆に、学名がきちんと表示されていない精油は購入しないようにしましょう。

ラベンダー精油:Lavandula angustifolia(ラワンデュラ・アングスティフォリア)

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この場合、「Lavandula」が属名、「angustifolia」が種小名になります。

「Lavandula」はラテン語の「Lavo(ラヴォー)」や「Lavare(ラワーレ)」からきているといわれ、「洗い清める」を意味します。

「angustifolia」は、ラテン語の「agustus(狭い)」と「folius(葉)」から。細い葉をもっているものという意味です。

真正(ファイン)ラベンダーともいわれ、標高800m以上の高地で育つ野生もしくは栽培種のものです。

その中でも1,500mを超える高地で栽培されるものは、リナリルアセテート(酢酸リナリル)の含有量が多く、鎮静力が強いといわれています。

この特別なラベンダーのことを「ハイアルティチュード(高地の意味)」や「ラベンダー・マウンテン」と呼び、通常のラベンダーよりも高値で取引されています。

ラベンダー精油:Lavandula officinalis(ラワンデュラ・オフィキナリス)

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「officinalis」は、薬効があるという意味です。かつて医薬品として使われていた経緯があることから、付けられた名前です。

同じ「officinalis」という種小名を持つもととしては、ローズマリー(Rosmarinus officinalis)、ジャスミン(Jasminum officinale)などがあります。

別名ラベンダー・ヴェラ(Vera=本物の)とも呼ばれ、最高品質のラベンダーとして日本では入手しにくいのが現状です。

ラベンダー精油の値段を決めるのは栽培された場所と採取方法

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先ほどもお伝えしたように、ラベンダーの持つ鎮静力を最大限に発揮するのは高地で育てられたもの。さらに、手摘みで収穫されたものは、大変労力がかかっているものです。

ラベンダーは花・葉から精油を水蒸気蒸留法(蒸気で蒸して香りを抽出する)で採り出します。しかし、メーカーによっては、最盛期を迎えたラベンダーのフラワートップのみを使用して抽出しているものもあります。

ラベンダー精油は葉でつくられ、花が咲くと、その先に集まっていきます。花が満開になり、散る寸前にその部分を厳選して積むわけですから、さらに特別な1本になるというのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

野生種やオーガニック認証を受けているものであれば、なお一層値段が跳ね上がります。

ローズマリーのようなイメージで使える「ラベンダー・スパイク」

ラベンダー・スパイクは別名、「スパニッシュ・ラベンダー」とも呼ばれるもので、通常のラベンダーよりも約3倍の精油を産出します。

この「ラベンダー・スパイク」は、ローズマリーと同じ、ツンとしたカンファーや1.8シネオール(ユーカリみたいな香り)を含んでいるため、ラベンダーのような鎮静力は弱く、むしろ呼吸器系のトラブルや筋肉痛のマッサージケアに良く使われています。

ラベンダー・スパイク精油:Lavandula latifolia/spica(ラワンデュラ・ラティフォリア/スパイカ)

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「latifolia」は広い葉、「spica」は穂状花という意味です。

この植物は600mよりも低い標高で、海辺でよく育つといわれています。

真正ラベンダーよりも背が高く、ラベンダーの花穂は1本ですが、スパイクは細い花穂が3本で葉が幅広なのが特徴です。

暑さにも強く、壮健なことから「男のラベンダー」ともいわれています。

ラベンダーのようでラベンダーじゃない?「ラバンジン」

実は世の中に出回っている「天然精油のラベンダーを使用した商品」と、実際に採取されているラベンダーの量と解離しているという指摘があります。

つまり「ラベンダー」として表示されているもののうち、ラベンダーではなく「ラバンジン」が使われているのではないかということです。最近では「ラバンジン」ときちんと表記しているものも見かけるようになりました。

ラバンジン精油:Lavandula fragrans/hybrid/grosso(ラワンデュラ・フラグランス/ハイブリダ/グロッソ)

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「ラバンジン」はラベンダーとラベンダー・スパイクの交配種です。

生育場所も、スパイクとラベンダーとの間、600m~800mの間の山の中腹で育ちます。

香りはラベンダーよりも青臭く、すーっとしたトーンがあり、ややスパイシー。効果もラベンダーの鎮静力とスパイクの刺激性を兼ね備えているといわれています。

繁殖能力はないので、増やす場合は挿し木(クローン)です。年々花をつけ、抽出できる精油の成分が変化していくといわれています。下の方が太くなった花穂1本と小さい花穂が2本付きます。

ラベンダーの丈が膝上ぐらいだとすると、ラバンジンは腰の高さまであり、見た目や色も揃っていて見栄えがいいのが特徴。

ポストカードなどでラベンダーと書かれていても、ラバンジンのことがあるので注意が必要です。真正ラベンダーは見た目が意外に地味なのです・・・。

ラベンダーに比べると、植物から採れる精油量は多め。ラベンダー100kgで1kg未満に対し、ラバンジンは1~1.8kg採れるそうです。

ラベンダーでも抽出方法が違う「ラベンダーアブソリュート」

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通常のラベンダーは水蒸気蒸留法で精油を採ります。

圧力をかけた蒸気をラベンダーに通して、でてきたものを冷却。水の上に浮かんできた精油成分(精油は水に溶けにくい性質がある)を集めます。

ラベンダーは香水にも良く使われており、その場合、溶剤抽出法で採り出した香りを使う場合があります。

溶剤抽出法とは、石油エーテルやヘキサンなどの有機溶剤にラベンダーを漬け込み、でてきた香りをアルコールに移して処理をする方法です。

この場合、ラベンダーの花色が溶け出すので精油の色も濃い青紫になります。

通常のラベンダーよりもかなり濃厚なフローラルで、ラベンダーらしい爽やかさはあまりありません。

ラベンダーは産地によってまったく香りが違う

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ラベンダーの主な産地として最も有名なのが、フランス・プロヴァンス地方。それ以外には、イギリス、ブルガリア、オーストラリアのタスマニアなど。日本でいえば北海道でしょうか。

ハーブショップによっては、さまざまな産地をラインナップしているところもあるので、店頭でいろいろかぎ比べてみて、自分好みのラベンダーを発見してみてはいかがでしょうか。

私観ですが、オーストラリアのラベンダーはたくましく、力強く、爽やかな印象を受けました。

フランスのプロバンスのものは、やはり甘く優しく洗練された印象です。

「香りの違い」=「成分と成分構成の違い」ですので、当然、使い心地も違います。

甘くもわっとした印象を受ける場合は、リナリリアセテート(酢酸リナリル)の含有量が多いということです。

リナリリアセテート(酢酸リナリル)は、エステル類で、果物が完熟したときに放つ香りの成分。

鎮静力が強く、気持ちを鎮めたいときには最適です。

一方、ラベンダーに多く含まれるラヴァンジュロールやリナロール(アルコール類)が多い場合は、香りもやや軽いトーンになり、気持ちの高揚感を発揮します。

「ラベンダーは苦手で…」という方でも、産地が違えば、心に響く「ラベンダー」があるかもしれませんよ。

同じ学名・産地なのに、値段がまちまちなのはなぜ?

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一つは輸入の仕方が違う可能性があります。

大きなバルクで輸入し、日本で小分け瓶詰めして販売するケースと、現地で小分け瓶詰めしたものを輸入する場合があります。

バルク輸入の場合はスケールメリットがあり、安く輸入できるため、販売価格が抑えられます。

デメリットとしては、空気に触れる可能性が高いので、香りが変化しやすいのが難点です。

現地で瓶詰めされた状態で輸入されたものは、開封する瞬間まで空気に触れないため、フレッシュな香りが保たれます。

後は育て方の手間、収穫方法、蒸留方法、蒸留する部位などによっても価格は変わります。

こと精油に関しては、「香りの良さ」=「値段」と思ってまちがいありません。安いものはそれなりにと覚えておきましょう。

品質の良い精油を見極めるには?

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ラベンダーは必ず1本、身近に持っておくと便利な精油です。

量を少なく使用すると、睡眠の質を良くしてくれますし、逆に量が多いと興奮させるので、集中して頑張りたい時にも使えます。

また、ラベンダーにはシナジー(相乗)効果と呼ばれる、他の精油の働きを高め、香りのバランスを整えてくれる効果があるので、ブレンドする時にはぜひ加えたい精油です。

他の精油はどうであれ、ラベンダーだけは多少値段が高くても、品質の良いもの、香りが気に入っているものを選んで損はありません。

本物をきちんと選び取るには「鼻を利かせること」です。いろんなメーカー、産地のラベンダーをかいで、経験を積むことで、本物と偽物、品質の良いものと悪いものをかぎわけることができるようになります。

精油1本選ぶだけでも奥が深いですね!ぜひ、お気に入りのラベンダーを見つけてみてはいかがでしょうか。

<精油の選び方のポイント>
●植物の学名を覚える
●学名がきちんと明記されている精油を購入する
●香りの良し悪しをかぎ分けられるように普段から親しんでおく
●値段が高いものが品質のいいものであることが多い
●産地により香りが違うのでそこにも注目して選ぶ
●できれば産地で瓶詰めされて輸入したものを選ぶ